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バースデイ・ケイキと手作りの料理がテーブル一杯に並び、子どもたちと妻・義母が笑みを浮かべて並んでいる。

 

私の少年時代にはなかった光景だ。

 

私は、良き父親としてそこへいた。

 

敢えて否定も反抗もせず、幸せな家庭の一員として眺めていた。

あまりにもモデルっぽい家庭の一場面にいなくてはいけないピースとして。

 

母子家庭で育った妻と、その責任を負う義母にとってなくてはならない存在として。

 

頼りなくてもいればいい。

働きより子どもと接する時間があればいい。

 

すべては計算ずくの家庭に思えた。

 

今年は子どもを作る。

1月に規制解除。

すぐに結果が出る。

秋には生まれる。

 

そんな偶然が3回もあれば、計画通りという思いは当然だ。

 

しかも一姫二太郎という完ぺきさ。

 

子育ては妻と義母で完璧な態勢。

看護と介護の専門職コンビだから。

 

私は自分の嗜好としてアウトドア担当。

旅行自体を経験したことない私は、それなりに家族旅行を楽しんだ。

いや、時間が自由になる妻の利点を生かして、相当旅行へ集中した。

 

気楽なもんだ。

お金や仕事はそう気にしなくていいのだから。

 

転職は片手を超えていた。