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葬儀の日は近づく台風の風で朝から騒がしかった。
もともと行く気はなかったが、べレンダの波板屋根が飛ばされそうになり、その補修を理由に行かなかった。
義母が死んでから徐々に明らかになる複雑な家族の歴史。
知らない方がいい。
そういう気持ちが強かった。
名字の違う長男という方が遠方より来るという。
相続が揉めそうなことは一目瞭然。
結局、その長男とは顔を合わせることなく1週間が過ぎた。
葬儀当日には帰京したらしい。
固定電話が鳴り始めたのはそのころからだった。
電気やガスの停止や精算に始まり、お役所からも介護や福祉の事務連絡。
そして、銀行から。
九州の本籍から、戸籍謄本を取り寄せて欲しい。
???何、言ってんだ。
どういうこと?
義母の結婚相手の本籍が九州。
離婚しているのに、まだ本籍がそこのまま??
長女である妻は、義母の家から仕事に通っているが、それは非公式事項。
よって、すべての連絡は住所である私の家に来る。
当初は義母の所有だったが。
やっと、義母の問いから解放されたと思っていたが。
なるはずのないケータイから、声が聞こえる。
・・・・どうして?
・・・・本当に?