~43
こんにちは。牛乳の集金です。
はい、今行きます。
私は牛乳が好きだ。
というか、朝、トーストとホットコーヒーに憧れていたが、その時はまだコーヒーは受け付けなかった。
それに、新聞の配達を頼みに行ったアパート目の前の取次店が、牛乳の受付もしていて、その時、奥を横切った若い女性が美人だったから。思わず、・・・
牛乳の配達も出来るんですか。と聞いたから。
新聞と牛乳は朝のセットになった。
そして、娘も。
さすがに店の目の前にあるアパートへ連れ込むわけには行かないので、集金の時にメモを渡すことにした。
月一の逢瀬。
レンタカーを借りて、郊外のホテルへ。
娘の方は、店の跡取り確保という難題がついて来るから、誰でもいいというわけには行かない。結局、無駄に歳を重ねていた。
ということで、あと腐れのない発散。
結局、店は折からの都市開発でマンション経営者に転身し、優雅な地主生活。
あっという間の変わりようだった。
旧道と新道という国道があった町はすぐに寂れて、バイパスという名の6車線道路と都市高速が開通したまったく新しい街が誕生した。
畑だった面影は、まったく残らなかった。
大型店と高層マンションがどんどん出来上がり、おしゃれな街に変身していった。
私たちの会う場所も、郊外のそれから、高層マンションの一室へと変わった。
そうそう、私は頭のいい友人が始めた学習塾が人気なのに目をつけ、マンションへの進出を持ちかけた。
金がある親が次に欲しがるのは、子どもの高い偏差値。
住まいは金で選べても、学歴は金では獲得できない。
しかし、立派なマンションにある学習塾へ通うというスタイルはかなり魅力的。
そのうえ、成績が上がり結果が付いてくれば御の字。
1年で評判が評判を呼び、このバイパス沿いの立派なマンションに次々開塾。
小・中学校区内に一つ。それが鉄則。
見かけが大事。その地区で一番のマンションへ出ることだ。
これが予想外の大当たり。
今では老舗を追い越し一番の大所帯。
毎年、相当な大学を出た先生希望が面接に来る。
やはり、見た目が大事なので、私も時々参加していた。
下手に公立学校へ行くよりは、よっぽど教えガイがあり、給料もいい。
不意な転勤も心配しなくていい。
美人が少し多くなった辺りから、友人と気まずくなった。
親の心配が露骨に出てきたので、私は離れた。(離された。)
かなり浮かれていた時代だった。
誰もかれも。