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同期の車から降りて来たのは、歯科助手達。

 

恒例の同期スキーツアーに得意先の女の子を連れて来た奴は、遊び過ぎて卒業が半年遅れてしまうという失態で倉庫勤務になった。

しかし、本社復帰したら何事もなかったかのように大学病院担当の一員となった。

 

どうも私だけが異質な感じだと思ったのは、みんな立派な自家用車を持っているという現実を見た時。

 

まあ、それでも貧富に差を特に見下すこともしないのが、育ちの良さが持つ特徴。

キーツアーの行く先は、県北出身の私が決めてOK。

本当はもっとおしゃれな国際スキー場もある中、私を立ててくれている。

 

そんな彼が連れてきた中に、ショートヘアのかわいい子がいた。

なんとか話したいと思ってはいたが、いきなりでは厚かましいので、機会をうかがっていると、初心者なのに誰も教えていない状況が見えてきた。

 

なぜなら、教えるほどの男がたまたまいなかったから。

 

どうしました?

誰も教えてくれないの??

 

30分くらい平等に教えたつもりだったが、やはり目当ての子に集中し過ぎて、空気が冷めてきたので、切り上げた。

 

すると、同期の女の子の空気も冷え切ったいた。

 

仕方がないので、一人滑走を楽しんでいた。

 

昼頃になった時、高校時代の級友に見つかった。

久しぶりに会う女の子は、やはり田舎臭が抜けていない。

しかし、そんな彼女達でも、同期の子や得意先の子達からみたらライバル登場に見えたらしい。

 

視線が私の後ろに注がれ、振り向くとそれぞれの刺すような視線を浴びていた。

 

結局、三者に説明をして回るという展開。

 

こうなると、どことも接触できず、ひたすら滑った。

 

目立つのは実によくない。

 

ただ、男の級友たちには、どうよ、という感じは少しした。

 

田舎出身の貧乏男子は、街で頑張っています、と。