~25
待て!!
ああ、やった・・・・・
次男が自分でロックを解除して飛び出した。
住宅団地まで帰って気が緩んだのかもしれない。
おもちゃ屋の向かい側で車を停車してしまった。
その時点で、子どもは道を横切ることになるのに。
次男が私の目の前を横切って飛び出すまで、気が付かなかった。
死んだ、と思った。
眼をつぶった。
しかし、何も音はしなかった。
前からも後ろからも車が来なかったのは、信じられない幸運だった。
何しろ戸数1500戸、5,000人の大規模住宅団地。
幼稚園から高校まであり、特別支援学校もある。
バス始発の為の待機所があり、1時間に片道5本は走っている。
ただ、行き止まりなので、通過する車がいない、ということが幸いだった。
ほんの数秒違うだけで、次男は10歳を迎えられなかっただろう。
何年経とうと、強く戒めとして残っている。
危機管理は日常にある。
習慣として、安全な方法を身につけなければならない。
身体が安全を欲している。
危険な行為は拒否する。
小さな違反をする人は、自分に甘い判断を危険が潜むところでもする。
妻が一人目を流産した時は、私は父になる覚悟どころか、希望さえ失っていた。
なにしろ、妻の友人で独身美人と私の友人とで海水浴を企画していたのだから。
もちろん、美人と会いたいから。
妻が流産した後、私は友人と二人で海へ行った。
妻は実母の家に帰った。
本当に私は、まったく自分のことしか頭になかった。
海ではナンパしていたのだから。