幻聴
ほとんど誰からもかからないケータイの呼び出しボイスが聞こえる時がある。
決まって女の声で。
後ろめたいことが幾つもあるので、その度にビクつく。
バレたか。
そもそも、私が生まれてきたことが間違いだった。
不幸の始まりだったのだ。
私の本心を問いただす、そんなことはしないでくれ。
・・・どうして、私なの?
・・・本当に、結婚したいと思っているのですか。
私は、まだ、答えていない。
誰にも。
そして、二人ともイナクナッタ。
だが、聞こえるのだ。
・・・・どうして?
・・・本当に?
もう、いないはずなのに。
私に問いかける。
着信のないケータイが。